秀歌逍遥・かんぜおん



カテゴリ:[ 短歌/川柳/俳句 ] キーワード: 短歌 俳句


1126件の内、新着の記事から50件ずつ表示します。


[1140] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月22日(木)14時02分39秒   通報   返信・引用

     体熱の強く残れる母を拭くもうこれから手の届かない人となる   佐藤華保理


母と接し母の死思う、そんな母は生いくばく、悲しい別れが待っている。平凡ながら重き受け取りがある。母は今、珠玉のようなのである。




[1139] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月22日(木)13時54分23秒   通報   返信・引用

     元気かなとお腹の上に手のひらを当てたるままに眠りこみたり   永田 紅


紅さんが相手決って結婚のとき父の永田氏の喜びの顔がテレビに映り忘れられない。先日、紅さんの小さい子が映っていたが早、お母さんである。人生は幸せを彩どる、良い歌もつくってね。



[1138] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月22日(木)13時44分46秒   通報   返信・引用

     母といふ窓不意にくもることのあり岬の喧嘩見てゐて   大口玲子


母という母の姿の窓であろう。わたしは都井の岬に新婚旅行でいったことがある。馬おだやかにして喧嘩などないようだ。この歌は喧嘩を見ている、馬も時にはするもんかなじゃれて。



[1137] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)12時49分59秒   通報   返信・引用

     浅草の観音さまや二天門丸髷結いしはわが母ならん   福島泰樹


ようもこんなところに母を見つけたものだ。あそう、と漏らす。母はもっとわが胸におわすのではないのか。歌つくらんがために発した言葉と思うのだが。



[1136] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)12時42分30秒   通報   返信・引用

     骨肉をわけてもらひし母照らす白きかたまり天空にあり   伊藤一彦


天空にあるというのだ。骨肉の母のものが。何だろうか、想像しても作者の独りよがりである。わからぬままにああそう、と受けとめたらいいのか。頑迷な詩の成就しない歌としておこう。



[1135] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)12時34分39秒   通報   返信・引用

     絎台を旅先の宿に見つけたり今亡き母の姿重なる   神作光一


くけ台、と読む。内容はきわめて平凡でこんな歌で終わったでいいのかと考えさせる。もすこしの詞の発展を望むのである。



[1134] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)12時27分20秒   通報   返信・引用

     こんなにも興がる女と知らざりきさざえさんよみ妻爆笑す   岩田 正


興がるよりも面白がるが適当。さざえさんは男でも楽しい。言ってることが微妙にずれているのがもうすこしである。嫁の歌の指導を受けたがよろしい。



[1133] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)12時19分21秒   通報   返信・引用

     栄養のひとつもないと言われ来し茄子のかなしみふかふかと切る   花山周子


茄子はわたしは好物で毎年つくる、旨い料理ができるからだ。ふかふかと切るよりふんわりを切るが適当であろう。彼女は都会の女性らしい。



[1132] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)12時11分57秒   通報   返信・引用

     庭すみの恋忘れ草その花のしをれてあるを手にとり毟る   安田純生


手にとりむしる、読む。恋わすれ草とはわたしは知らない。花がしおれてあれば毟るのでなくそっとして置くか水をやるべきである。やさしい感情の欠けているのがかなしい。



[1131] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)12時03分24秒   通報   返信・引用

     感情のそとにふる雨 ぐみの木をゆするなりけり記憶の庭の   吉田隼人


感情のそとにふる雨、とは感情がない。ぐみの木をゆする雨なのだが葉であろう、木はしっかりしている。すこし写生に問題点があるようだ。



[1130] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月20日(火)00時04分22秒   通報   返信・引用

     やはらかく光る無数の美しき針と思ひぬ冬の日照雨を   渡辺幸一


日照雨(そばへ)と読む。われわれの住む丹後のうらにしであろうか。無数の美しき針、とはここに住んでなければわからない。



[1129] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月19日(月)23時54分54秒   通報   返信・引用

     月の脚しづかにのびてゆきふるる菜のはな葉のはなみんな葉のはな   籔内亮輔


菜とはなと葉のリフレインにより月の脚を美しくさせている。短歌的な作品で平明な調べがあさからず。写生もうかがわせて面白い。



[1128] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月19日(月)23時42分0秒   通報   返信・引用

     留守中に誰かが竹の子玄関に置きゆきくれしが生えいる如し   浜田康敬


田舎ではこのようなことがある、新鮮な竹の子であったのだろう。生えいる如し、が喜び驚きがあふれている。人の生活が見えてほほえましい。



[1127] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月19日(月)23時33分21秒   通報   返信・引用

     暁方の夢のごとくに葉の群にオクラの黄の花やはらかに咲く   沢口芙美


夢は暁方に見るもの、オクラの花は夢のようだという。わたしは毎年オクラをつくっているがやわらかな黄の色の花で詩情がある。



[1126] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月19日(月)11時34分45秒   通報   返信・引用   編集済

     あぱーとに餓死の骨あり散乱す子と母とまた病みたるものと   阿木津 英


散乱す、がよい。母と子と病人、いかなる故にこの惨事に至ったのか想像するも傷ましいものだ。餓死だから食べるものがなかったのであろう。



[1125] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月19日(月)11時27分25秒   通報   返信・引用

     秋空を見上げるこんな晴れた日も拒絶のやうに死ぬ人がゐる   山田 航


そりゃー人はいつでも死ぬわいさ、晴れた日に死んだら秋空に浮かぶ柩の船は夢を運ぶようだ。ひとの死をこのようにとらえて愉快だ。



[1124] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月19日(月)11時19分29秒   通報   返信・引用

     熱帯夜なる闇ありてかかる夜は壇蜜も寝苦しくありしか   藤原龍一郎


いささか名のある歌人の歌としてどうかと思うのだが着想が安っぽい。そらー壇蜜も独身だから夜に男が欲しいだろう。小池 光はどうかとわたしは以前いったのだが、壇蜜はきっと嬉しいと思うよ。



[1123] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月19日(月)11時07分31秒   通報   返信・引用

     うたよ立てヤマトが又も攻めて来る引くな下がるな南東の抒情   平山良明


ややこしい歌意のようだが、読みたい。これは沖縄か、歌は抒情であり南東の独特のものであろうか。歌が立つ、とはその個性を失うなとおらぶるのだ。個性はその人の尊い光である。



[1122] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月18日(日)17時59分33秒   通報   返信・引用   編集済

     ひとりゐる静寂に波の音のあり恩寵のごとく歌の生りゆく   小川良秀


静寂(しじま)、生(な)りゆく、読む。歌はどんな時でも生まれるのであるが恩寵のように生まれるのはひとつの祈りがあるときである。教会で愛は神なり、がどうしてもわからない。中島小百合教誨師に申しわけなく思っています。



[1121] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月18日(日)17時41分15秒   通報   返信・引用

     幸造君、富士の山のごと律々しく高くあれかし光の中で   小川良秀


これは姉の娘の子への賀状に書いた歌である。姉は強い恋愛で結ばれ結婚したのだが、別れ夫は首つりしてして死に姉は脳溢血して死んだ。その娘は二度結婚して、幸造君は娘の子。人生は複雑である。わたしが姉の葬儀をしたのである。



[1120] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月18日(日)17時18分41秒   通報   返信・引用

     青島江に勇魚追ひこみ勢子どちの死をも怖れぬ血の海浄し   小川良秀


わたしの故里の近くに伊根の舟屋がある。湾がありそのなかに青島がある。昔の漁師はここに鯨を追い込み獲った。古図にもある、死にもの狂いの修羅場であった。母鯨についていた子鯨の墓がここにある。勇魚(いさな)は鯨のこと。



[1119] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月18日(日)17時04分47秒   通報   返信・引用

     あたらしき年の初めのたよりきて雪に雨ふる朝にいでたり   小川良秀


わたしの友は陶芸家で石黒宗麿の弟子で京都大原でやっている。困ったことで年賀状は友をわが弟子のようにあつかい正月三日に来たものに賀状を書くのである。なんとも失礼ではないか。それゆえに感情がこじれてしなくなったのである。



[1118] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月18日(日)16時52分26秒   通報   返信・引用

     暁の夢にほのかに現れてしばらくわれに抱かれて去りぬ   大下一真


彼は僧侶なんだが、このような歌はどうかなという人もあろう。わたしも僧侶なんだが結構だろうというであろう。僧侶といえども妻帯して子をつくることを仏教界は許している。否とすれば法灯は絶えるのである。この歌は夢ととらえているのだが真実として歌うべきである。



[1117] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月18日(日)16時20分21秒   通報   返信・引用   編集済

   たまさかの歌   小川良秀


              母あればこの春の径をあゆまな皺のふかかる母の手繋ぎ



[1116] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月16日(金)17時02分32秒   通報   返信・引用   編集済

     歌会     小川良秀


           清華にしてミニアチユールの御仏なり截金しつつ菩薩となる乙女


         獅子の腹噛みて死免がる縞馬のひとつの戦ひまなびけるかも

         対となる鳥威しもつ睦女夫湯上り香の妻は夫よぶ



[1115] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月 7日(水)13時03分10秒   通報   返信・引用   編集済

     ときどきの句     良秀


                托鉢や冬の灯台とぼるまで

                雪の布施母のごとかる眸に逢ふ

                托鉢や風待草は語るがに



[1114] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月 6日(火)16時15分38秒   通報   返信・引用   編集済

     ネット句会   (2018、2)  数字は得点


              6     手がついてその手寂しい雪だるま

              8     賽客は絶えて宮司の初湯かな

              5     海賊もたじろぐ笑顔宝船

              6     鈴の音を添へて授かる破魔矢かな

              8     裏山に斧打つ響き春隣

              6     東風吹いて蹄のごとき絵馬の音

              6     おほかたの薬飛び散る大嚏

              9     手焙の訛りも温し朝の市

              6     万象の閑けさにあり寒椿

              8     地吹雪や津軽三味線抱かれ哭く

              5     挽臼の余生は庭に実万両

              9     温もりを鶏舎で拾ふ寒卵

              11    将門の井は標のみ笹子鳴く

              6     手習ひの墨の香かすか外は雪

              5     一湾の風に答える梅一輪

              6     雪吊の縄ほどけゐる日和かな

              8     名山も名もなき山も眠りけり

              5     もれてゐる内緒話や息白し

              5     大寒や鴉の声の裏返る


                  良秀

                        朝きて愛別離苦の雪のふる

                        鬼柚子の甘露煮ありて句会つぐ

                        かたみして真裸いだく小雪の晨



[1113] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 2月 2日(金)11時14分25秒   通報   返信・引用

     朝日俳壇


             わが山河どう越ゆべきか牧水紀

             桐一葉落ちて宇宙のゆらぎ知る

             もや突いて鹿にやつした神集ふ

             秋風や抱かれたやうに母を抱く

             老木にして初々し初紅葉

             噴煙に太古のままの月昇る

             木の葉独楽回して地球くすぐりぬ

             稲刈を終へて教師に戻りけり

             飛び移り蟷螂の翅ととのはず

             木枯は故人の号泣かと思ふ

             行く秋の光を集めゐる琵琶湖

             もうひとつ足を欲しげに立つ案山子

             麓まで来て完成の紅葉山

             うすくうすくひたすらうすくりんごむく

             乱れ萩地に置く影も乱れをり

             新米を収めし蔵に二重錠

             鹿垣のいつも破れてゐるところ

             日を留めて虫鬼灯となりにけり

             指差せば指に乗りくる今日の月

             接点の見えぬ会話やサングラス

             濁り酒神妙に聞くご高説

             父が酔い兄の饒舌新走

             渡り鳥脱出したき国もなき

             鵙鳴きし空のはるかにある戦

             子供らは皆んな子育て小鳥来る



[1112] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月31日(水)22時35分54秒   通報   返信・引用   編集済

     ときどきの句   良秀


              明けの梅薄鈍色に匂ひきて

              峪深く神の宿るや雪帽子

              湖畔明け冬の斜光さしこめり

              昇る日やアイスブルーの解ける樹々

              朝焼けに樹氷を照らす静寂かな

              間人蟹自家菜園の菜の鍋よ

              変容に住まひあるべし春日こもれ

              飛び鉋鉢につづりて柿なます

              やちむんの唐草伸びよ春の日に

              馬よたよた冬木ひけり愛し眸



[1111] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月30日(火)23時41分24秒   通報   返信・引用

     朝日俳壇



             猫さへも老を置き去る日向ぼこ

             たなごころ卵ひとつの淑気かな

             枯蘆や枯の盛りの音枯るる

             これからが孤独地獄や冬灯

             羽搏きて白鳥湖のほむらなす

             寒星の瞬く町に旅終る

             凍蝶の光の重さまとひ発つ

             雑木林焦がすばかりに冬夕日

             日常がしばし遠退く焚火かな

             冬夕焼はやも一番星光る

             雪しまく見えぬ前方見つつ駆る

             初雪に震へてをりぬ今朝の山

             見返せばすべて善きこと日記果つ

             ほろ酔を許さぬやうな冬の月

             左義長の煙神杉より高く

             輝きてただ水鳥としか見えず



[1110] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月30日(火)23時12分20秒   通報   返信・引用

   たまさかの句    良秀


             若緑の芭蕉に寄する古城風

             鎌をもて女教師を追ふ雪野かな

             鬼とゐてぴんと踊れば山笑ふ





[1109] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月29日(月)23時34分43秒   通報   返信・引用

     朝日俳壇



             闇汁やほくそ笑みつつ消す灯

             凩に耐へし冬薔薇剪らず置く

             まつすぐに伸びたる紐の放つ独楽

             悴みて手の甲の皺さすりけり

             山仕度終へて出づれば暮雪かな

             青空の青消す威容雪の富士

             これからも感謝で暮らす冬薔薇

             高々と光求めて凧

             大寒の全く以て一軒家

             露天湯に禿頭ふたつ風花す

             けふひとひ風花といふ贈りもの

             雪国を思へば讃岐ありがたし

             寒灯の一つ一つに人住めり

             外人墓地ふところに抱き山眠る

             老いて知る春待つ心切なるを



[1108] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月27日(土)23時40分43秒   通報   返信・引用

     朝日俳壇


           炎にも見えて選手の白き息

           めでたさは妻柔らかなお正月

           月渡る白神嶺々や除夜の鐘

           日向ぼこ自然治癒力ある心

           若狭には原子炉多し虎落笛

           煩悩は煩悩の母落葉焚く

           サンタゐる水族館の水の中

           人いつか還る虚空に銀杏舞ふ

           海鼠らの囁きあへる海の底

           初富士や嫁ぐ娘と上京す

           積もりゆく雪よ減りゆく吾が時よ

           切り分けし聖果に星の一つづつ

           明暗を分けし歩道や銀杏散る

           焚火の輪噂の火種ここにあり

           湯豆腐や八十路の先をおもひけり

           人よりも暖炉を頼り蝦夷暮らし

           海見ゆる丘に猫ゐて日向ぼこ

           雲流れゆく大雪野果つるまで

           年末の忘れてならぬこと忘れ



[1107] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月26日(金)14時20分52秒   通報   返信・引用

     朝日俳壇


            金木犀猫が月から降りて来る

            幾万の枯葉流れに逆らはず

            疎ましき饒舌の世や秋しぐれ

            怒涛とは仙石原の花薄

            秋ふかし何しに二階へ来たのやら

            蛇穴に我が闘争の二十代

            一つまた灯火の消ゆる夜寒かな

            みちのくへ縄文の秋訪ねけり

            父の情新米に込め荷の届く

            気付かれてイノシシ逃げる森の奥

            長き夜やもう半分の酒かなし

            先頭は屈強の顔鷹渡る

            秋の航古墳と紛ふ竹生島

            みちのくへ縄文の秋訪ねけり

            洞窟で暮らした頃の冬の朝

            祭笛聴きて里芋堀にけり

            焼栗の昭和の路地の懐かしき

            人生の終着近し熟柿もぐ

            やはらかく山を包める芒かな

            高稲架に蹴躓き行く雲のあり

            銀杏を拾ひし靴と見破られ

            城跡に跳ぶは殿様ばつたかな



[1106] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月25日(木)23時52分58秒   通報   返信・引用

     朝日俳壇


             独楽廻り澄めるは動の極みかな

             冬満月吾等地上を離れざる

             餅花の影にも色のあるごとし

             少女にも武道家の貌初稽古

             雛市に娘を思ふ妻思ふ

             数の子を噛めば昭和の音がする

             新たなる雪をかさねてゆく雪嶺

             獅子舞にどの子も泣かずそれもよし

             今一度文字を正して日記果つ

             励ましの言葉一言あたたかし

             初旅や富士玲瓏の日和得て

             太陽のやうな子が居て初笑

             冬紅葉色を尽くして惜しげなく

             粕汁や隠しごとせぬ子に育ち

             水たまりにも雲を置き初御空

             同じこと母もしてゐし大根煮る

             桜島黒く大きく初日の出

             ふるさとの真つ只中に雪嶺あり

             新しき俎板の音おめでたう

             神の御手大きく開く初日かな

             梅桃よ聞くだに楽しわれ老いぬ

             大寒や庭を眺めて住ひけり



[1105] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月23日(火)00時31分1秒   通報   返信・引用

     わがむくろけぶりとなりてはてしなきかの大空にかよひゆくかも   大石誠之助


作者は医者。大逆事件ででっちあげされて刑死する。徳のある人で貧乏人からは医療のお金はとらなかった。けぶりとなって大空へゆくわが身に籠るものは何か。



[1104] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月21日(日)14時40分14秒   通報   返信・引用   編集済

     ときたまの歌    小川良秀



             夕べきて櫛のひとつを拾ふかな闇せまりくる寒さゐだかせて

             婆々つくる鬼柚の甘露煮ふかし句会つぎたり秀句うまれり

             左義長をいただく灰にひかりをる小火のありけり新春のうづき

             かぶりつき熟柿食うべたりそは尊貴の法とふ永平寺

             愛染にはや晨のきて愛別の離苦去りがたし小雪みぞれ雪

             八朔をば玻璃の器にさしいれり追熟の死か夢のだひだひ

             亡きひとは柩に入りぬ春なる雪よ雪ぼたるのやう

                             新年の大野は齊れてこふのとり華やかにして力つよく翔ぶ

             わが性をわが心の鏡に映しゐだす歪みたるものひとは離れず

             囚はれの檻の猪ぴんと踊れば吾はつられいやいや踊るよ

                 読み   たうべたり

                      にひどし はれて とぶ

                     さが い あは
 



[1103] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月19日(金)11時00分17秒   通報   返信・引用   編集済

     歌会



        鎌をもて女教師を追いてゆく追へる雪野の雪ふりやまず


          烏焉して熱の脳の冷えてゆく上弦の月腰かく少女

          つがひなる彫りの鶺鴒尾を振りてオルゴール鳴らす妻目覚めよと



[1102] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月17日(水)07時10分10秒   通報   返信・引用

     スズ句会    良秀


             打坐をして寒気の磨く頬の骨

             櫛ひとつ夕べに拾ふ寒さかな

             朝きて愛別離苦の雪のふる

             鬼柚子の甘露煮ありて句会つぐ

             かたみして真裸いだく小雪の晨

            



[1101] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月13日(土)11時32分22秒   通報   返信・引用   編集済

     歌会始


新年恒例の歌会始があったので上げたいと思う。今年の題は、語。


あたらしき住まひに入りて閖上(ゆりあげ)の人ら語れる希望のうれし   皇太子妃雅子さま

祖母宮(おほばみや)の紡がれたまふ宮中の昔語りは珠匣(しゆかふ)のごとく   寛仁親王彬子さま

語ることは繋ぎゆくこと満蒙といふ蜃気楼阿智村に聞く   選者 三枝昂之

語り了(を)へ過ぎにし時間かへり来ぬ春の雪降る巻末の歌   選者 内藤 明

突風に語尾攫(さら)はれてそれつきりあなたは何を言ひたかつたの   川田邦子




[1100] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)23時46分8秒   通報   返信・引用   編集済

     精華にしてミニアチユールの御仏なり截金しつつ菩薩となる乙女   小川良秀


截金は非常に細かい神経つかう仕事で仏像にしてあるのだが菩薩に触れ黄金に飾るのである。知らず知らず仏になるようである。このうえない仕事冥利といえよう。



[1099] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)23時34分38秒   通報   返信・引用

     蒼波の八潮はるけく漂着り来たる眼に見えがたきものら さはさは   中西洋子


作者の名をひさしぶりに見る、才能のある人であった。八潮とは潮が八方に拡がるさまであろうか。表現にひとつの表現工夫が見られる。さはさは、は常識のものだが常識でないようだ。



[1098] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)23時20分55秒   通報   返信・引用

     被爆地の牛ら何処へ行きしやら乳牛になれず肉牛にもなれず   波汐国芳


牛は丸々と肥やされあげく殺され肉となり人間に食われるのである。それを思うと肉も食えない沙門である。しかしながら、老人になると採食がいい。被爆地は牛にとりいいかもしれない開放である。



[1097] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)23時10分53秒   通報   返信・引用

     首太く胴はくびれず尻低き五穀豊穣の女のからだ   浜名理香


太古の女神の象にこんなのが出てくる。いわゆる、多産に耐えよく働く女である、すなわち、生活を豊かにしてくれるのである。



[1096] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)23時02分17秒   通報   返信・引用

     わたくしは行方ひとすじの忘れ川だからくり返すおなじあやまち   辰巳泰子


ひとすじのことに専念するゆえに忘れるのだ、忘れ川がいい。あやまちは永平寺では鉄拳が飛び、東司掃除が待っている。行方ひとすじ、が悲しい。



[1095] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)22時53分46秒   通報   返信・引用

     ながながと仰向けにしろくいる蛇よ死体のさまは自ら選べず   中津昌子


そうですね、選べません。いわゆる、ただごと歌でなかろうか、人が納得して否定しない事柄を納得させる歌い方である。歌としてひとつの哀れさがあるのだがこの運命、このように歌わねばならぬところに悲が存る。



[1094] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)17時56分51秒   通報   返信・引用

     おんなゆにちぶさのばりえーしょんをみるおとこが一生みられぬほどの   沼尻つた子


男は女の乳の脹らみ白さを見るかな、見るよりも触る方がいいのではないか。わたしにはこんな歌がある。

    かたみして真裸となりちちふさを背(せな)ゆいだけば闇に雪ふる   小川良秀

わたしは最初の妻と別れ琵琶湖の湖低の龍宮の姫と睦んだ、三年ほど。上のような歌の愛撫が好きだった。



[1093] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)17時42分2秒   通報   返信・引用

     みどりごの面に炙り出しのごと微笑は不意に現れて消ゆ   堤  幸子


みどりごの表情は本能的なものでなかろうか、心は無いのである。それゆえにこのようになるのであって大人は不思議に思う。奇怪にとるのは歌人らしい。



[1092] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)17時32分58秒   通報   返信・引用

     一巻の絵巻といふには小さかる愚直に過ぎし我の歳月   久我久美子


一巻の絵巻の人生などでない、そんなものでないよ、というのだが愚直という懺悔がある、いかなる過ぎゆきか、我我は思うのである、己をあてはめて己のように。



[1091] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2018年 1月11日(木)17時24分11秒   通報   返信・引用

     逆光のなかから首は降ろされてわが手の運はキリンに舐めらる   大竹明日香


この首はキリンだろう。わが手の運、とはおもしろい。手とはそれほどな意味をもっているのだ。その手を舐められ、気持悪そな作者がいる。運はねっとりして歪むかもしれない。


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