秀歌逍遥・かんぜおん



カテゴリ:[ 短歌/川柳/俳句 ] キーワード: 短歌 俳句


780件の内、新着の記事から50件ずつ表示します。


[790] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月19日(火)15時15分5秒   通報   返信・引用

     いちどだけ掬はれしみづ さまよへるあなたをうるほす河でよかった   小田桐夕


なかなか美しい詩韻のある口語短歌である。塔の若い有能者であろう。いちどだけといわずに何度も掬ってほしい。あなたのさまよひをうるはす河であれば。少々頭の中でできた歌と思うけれども。




[789] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月19日(火)15時00分55秒   通報   返信・引用

        抜け道の寺の境内実むらさき   美弥子


寺の抜け道の境内とは思いが寄る。この紫の実とは山葡萄であろうか、都わすれであろうか。わたしもこの時期にこのような句をつくった。

                廃船の竜骨痩せて白露あり   良秀



[788] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月18日(月)13時28分8秒   通報   返信・引用

     吊るされて作業衣に顔なし手足なしされど膨れてゐるぞ肩胕   時田則雄


かたふ(肩胕)、読む。肩のはらわた。この文句を見れば肩のはらわたがわかる。農民でこそ知り得る言葉である。



[787] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月18日(月)12時58分11秒   通報   返信・引用

     ゆるやかに斜に振つて払ひたりあなたの紺の傘にあはゆき   黒木三千代


これはひとつの観察であるのだがよく観察されておられる。このように歌われると雪がうつくしい、ましてや紺の色の傘にあはゆきである。あなたに媚びているようだ。



[786] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月18日(月)12時44分7秒   通報   返信・引用

     充電をしてゐる電気剃刀をひとつの羽虫めぐりてやまず   小池 光


こういうことがあるもんだねえ、羽虫といえば可愛いぢやないか。それにしてもよく見ているよ、小池さん。歌がつまってしまってこんな歌というもんじゃなかろうけど。



[785] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月18日(月)12時35分34秒   通報   返信・引用

     古馴染ふらんす国のぐうたら屋ぷるうすとには茶を差し上げて   紀野 恵


よくいうじゃないか、古馴染、ふらんす国、ぐうたら屋、ぷるうす・・・・・茶を差し上げて、とは。どんなのかな一体。



[784] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月18日(月)12時24分22秒   通報   返信・引用

     大阪は尋常ぢゃなくしやべるから通天閣が蒸し上ります   池田はるみ


そうでしょうねえ、大阪・通天閣はよくしゃべるから蒸し上がるでしょうね、まったくもって。通天閣がよくしゃべると視たところがよい。



[783] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月18日(月)12時14分41秒   通報   返信・引用

     かなかなの啼くこころざし たとふれば我を生しし日の父のくやしさ   大辻隆弘


あをなしし日の、読む。どんなに不肖の子といえども親にとっては子はありがたいものである。このくやしさは虚実であろう。虚実のみ歌うことできぬ歌人はあわれである。歌の初歩に今一度還るべきである。



[782] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月17日(日)01時54分45秒   通報   返信・引用   編集済

     黄葉づきて秋のひかりの片陰にくちなはひそむわが歩みなる   小川良秀


この歌を十月の岩滝歌会に出そうと考えている。もみづきて、蛇ひそむわが歩みなる、読む。人生においてこのようなくちなはが片陰にひそんでいるゆえ大変なのである。



[781] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月17日(日)01時38分58秒   通報   返信・引用

     梨食めば梨の音して身の内に梨染み透るひとりの夜を   美原凍子


丹後・久美浜に梨・桃・葡萄をつくっている友がいるので先日に梨・葡萄を分けてもらった。新鮮で甘く、スーパーでもう買えなくなった。これほど違うのかと思ったほどである。わが家より一時間の片道であるのだが買う値打ちがある。



[780] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月15日(金)23時56分58秒   通報   返信・引用

   岩滝歌会

          鐘を打つ雲衲われに宇治川の花火あがる明月の散華


              草の穂を蟹ゐる穴にさしいれば足捌き鋭し海わたるごと

              助けたる提灯鮟鱇に連れられ龍宮へ あれあれま姫はお釜



[779] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月14日(木)10時36分16秒   通報   返信・引用

     カマキリや穴熊ばかり出てきて思い出せない教師の名前   草田照子


もぞっと笑いおこさせる歌である。教師にはカマキリや穴熊のような先生が他にいたのだろう。教師には仇名がつきもの、わたしなど今でもダブちゃんという社会の先生が浮かぶ。



[778] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月14日(木)10時27分54秒   通報   返信・引用

     隣りあひ座りてゐたるかかはりに人の身に鳴る骨の音聞く   横山未来子


どうも作為の見られる歌でつくらんがための歌ととれる歌である。このような骨の鳴る音を聞くのはまずもってないことで真実性のない歌といえよう。



[777] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月14日(木)10時20分58秒   通報   返信・引用

     にんげんの為すことおほよそ虚しくて馬うつくしく走らせなどす   成瀬 有


馬うつくしく走らせ、は逆に虚しからざるものである。否定することによりものを深くして美しくさせこころ見開かせるのである。



[776] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月14日(木)10時13分42秒   通報   返信・引用

     冬の虹大きくかかり比叡には黒き僧侶つぶつぶといる   前田康子


これもかわった事物の叙景歌であろう。冬の虹が比叡の寺で働く僧侶を神秘にしている。僧侶つぶつぶといる、が仏(ぶつ)を連想させる、僧は仏の子である。



[775] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月14日(木)10時05分16秒   通報   返信・引用

     あかつきの空にざわめく幾万のよろこびもなき剃刀の刃   山田富士郎


これは特異な歌で穿った内容である。サラリーマンの朝はこのように剃刀で身をととのえるのであるが出勤は必ずしも喜びあるといえない。あかつきの空にざわめく、が不気味である。



[774] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月14日(木)09時55分10秒   通報   返信・引用

     歩みくる幼子あはきくれなゐの臓器納めし小筐のごとし   古谷智子


こばこ、読む。かご・はこをいう。あはきくれなゐ、の臓器納めしが巧みである。こばこ、はひとつの宝物でこのように受けとれ愛情があふれている。



[773] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月14日(木)09時43分53秒   通報   返信・引用

     とげのごとき木杭ごちゃごちゃとある霊園こんなところに眠るとするか   浜田蝶二郎


われわれは死して土に還るのである。これは真実であの世に天国も地獄もないのである。仏教はこの世をいかに生きるのかという教えである。葬式仏教ではないのである。ゆえに、このような歌のようなところでもいいのである。



[772] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)10時52分58秒   通報   返信・引用

     おぢいさんの杖どうして長いのと童子問ふ百日紅の花に残る夕光   佐々木信綱


ゆうかげ、読む。百日紅の花の夕光、とはやさしい憂愁であろうか。童子にいつかこのようにおじいさんのようになるんだよ、の声が聴こえる。生命の余光のようなものだろうか、童子と言葉かわすのは。



[771] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)10時40分28秒   通報   返信・引用

     大空ゆ哭きたくなりて降る幹がつぎつぎ着地して杉林   渡辺松男


まことにどう考えてもならざる現象であるのだがこれが詩というものだろう。こんな発想が彼にあってわれわれを驚かす。彼の師の馬場先生が冗舌な歌をつくられるが師は冗舌を感じるがこの作者には感じられず詩を感じるのだがどうゆうことか。



[770] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)10時28分17秒   通報   返信・引用   編集済

     神さまと話したことないのかと春の夕ぐれひゆうひゆうと鳴る   三枝浩樹


       削除



[769] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)10時09分4秒   通報   返信・引用

     このところ葱の天ぷらにハマってる しあわせだなあ美味しいものは   楠井花乃


葱の天ぷらねえ、そんなにはまるほど美味しいのだね。わたしも一度嫁さんに作ってもらおう。美味しい感覚は個人差があるかもしれないがこのように詩人にさせる。



[768] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)10時02分32秒   通報   返信・引用   編集済

     クレマチス凝視めていればいつのまに脳のなかにも絡み来て咲く   千葉みずほ


このみつめていれば、は凝視の姿である。脳のなかにも絡み咲くというのだからクレマチスに相当に魅せられ狂気のようになったんだろう。



[767] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)09時54分20秒   通報   返信・引用

     この前泣いたのはいつであったかごうごうと声上げて泣けば猫が悲しむ   酒井佑子


ごうごうと泣くとは激しい感情である。さてそれは、悔し涙か失恋か想像せねばならない。猫といえども悲しみがわかるかもしれない。作者は激情的なひとであろうか、それとも素直な感情の持主であろうか。



[766] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)09時43分58秒   通報   返信・引用

     ようやくに田平子の花さかりなり明日に田起こしするというのに   石川良一


たびらこの花、読む。どのような花なのかわたしは知らないが、作者の愛着ある花らしい。花の命を惜しみながら田起こしせねばならない農民と詩人のないまぜの気持が出ている。



[765] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月12日(火)09時35分10秒   通報   返信・引用

     おにぎりを死守するために兄の手に噛みつく弟一歳半   三好悠樹


まことに鮮明に歌っておられる。人間の本能というべきものか、動物の生存競争であろうか、小さい頃から持つということは真理である。死守、噛みつく、がまざまざと訴えるのである。



[764] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月10日(日)07時44分3秒   通報   返信・引用

     白砂を吹き上げてくる風の中磯にならべし蛸壺の鳴る   浜岡芳朗


歌はよく見ねばつくれないし魅力あるものが生まれない。この歌は歌の基本である写生にもとずいている。蛸壺が鳴るとは一つの発見である。しかしながら、写生の次の詩にする段階がもっとも大切で今日のアララギの歌に欠けるものであることを言いたい。



[763] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月10日(日)07時24分56秒   通報   返信・引用

     あたたかき冬の畑に妻と来て花と咲きたる大根を抜く   浜岡芳朗


生活詠としてすばらしい。あたたかき冬の畑とは日があふれ耀いていたのだろう。この大根は食べ残ししていたのが花をつけたらしい。大根の花は可憐である。



[762] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月10日(日)07時06分50秒   通報   返信・引用

     夜なべするわれに優しく物を言ふ湯上りの妻の香を匂はせて   浜岡芳朗


湯上り妻の香がいい。優しい妻いてこそ人生が歩めるのである。夫婦の姿が情深く歌われている。その後の夜の妻との営みをほんのり思わす。



[761] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月10日(日)06時52分34秒   通報   返信・引用   編集済

     母の呉れし新豆を煮つつ雪の夜のいろりにひびく波を聞き居り   浜岡芳朗


作者は地方のひとで教師、アララギ系の歌人。歌を飾らず、淡々と真実を語っている。波を聴く日々があるようである。内容に光るものがある。



[760] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月 9日(土)17時43分29秒   通報   返信・引用

     山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇を君   若山牧水


この日は、太陽の光、照るとは光り耀くこと。山に海に照り輝く太陽の光の中でいざ唇(くち)づけせん君よというのだ。なんという感情であろうか、詩人であろうか。純粋で熱いひたすらを覚える。

 そのほかに、こんな歌がある。

         なつかしき春の山かな山すそをわれ旅びとと君おもひ行く   若山牧水

           春たてば秋さる見ればものごとに驚きやまぬ瞳の若さかな   若山牧水



[759] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月 9日(土)17時23分59秒   通報   返信・引用

     海の声山の声みな碧瑠璃の天に沈みて秋照る日なり   若山牧水


海の声山の声・・・・・海のとどろき、光、など  山の樹々の萌え、霞、雨など。
碧瑠璃の天・・・・・緑青が空に沈み。  秋照る日・・・・・秋の照る光。
歌が大きく、見るものは繊細にしてたくましい。詩のこころ高く深く妙を射ている。牧水、若くして大成をなす。



[758] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月 6日(水)23時28分32秒   通報   返信・引用

   句会ネット(2017,8)

       高点句   数字はとった人の数


           5    惜敗の球児一礼つくつくし

           6    広々と蘆刈って沼現るる

           6    何もかもほうり出したき暑さかな

           6    フルートを置けばすなはち虫の夜

           5    走り根の径蜩の五合庵

           11   蟋蟀の四跳びほどの住まゐかな

           6    高原の水車ごつとん鰯雲

           8    山深き一茶の里や濁り酒

           7    月山の岩が器やましら酒

           6    連凧のごと逃げ立ちし稲雀

           5    石蔵の錠前太し百日紅

           6    ご破算のきかぬ人生星流る

           7    十忘れ一つ覚えて夏果つる

           5    福耳の和尚は傘寿菊手入れ

           8    てのひらで風を掬ひて風の盆

           9    古釘をきききと抜いて風の盆

           5    姿見に妣を重ねし盂蘭盆会

           5    表札を外す旧家や法師蝉

           6    月光の匂ひと思ふ秋の鮎



[757] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月 3日(日)18時39分19秒   通報   返信・引用   編集済

     助けたる提灯鮟鱇に連れられ龍宮へ あれあれま姫はお釜   小川良秀


この歌に付けたわたしの物語があるのでご一読ください。

  提灯鮟鱇

わたしの丹後の国に出てくる浦島子のお話はあまりにも有名な夢のようなお話です。実はわたしも、笑わないでください、海底の龍宮に行ってまいりました。わたしは常日頃から動物を大変可愛がる人間でしてそれはそれは可愛いのです。ある日、あの伊根の近くで漁師が面白い魚を持っていましてそれは何だと訊くとちょうちんあんこうという、それも生きているのです。今晩のご馳走にと買い求め帰ろうとすると、メナヤーと悲しそうに啼くではないか。わたしは慈悲のあふれた僧です、波打ち際にそっと放してやりました。ところがその夜の夢の中に助けたあんこうが現れて命を救ってくれたお礼に乙姫さまのいる龍宮に連れてまいりますという。わたしは夢の中といえども半信半疑であったが好意に甘えて行くことにした。お伽の話にある桃尻娘のような乙姫さまに会えると思うとなにかしら陽気な氷川くんが歌っている沓掛半次郎の歌を口ずさんでいた。ああ嬉しいね、ところがである、乙姫さんと会ってどうも様子が変である。よく見るとウメザワトミオのような顔をしているではないか、そうである、乙姫さまはお釜であったのである。わたしは会う前から僧侶であり老齢であり睦み愛は断ろうとしていたのだが全くもって腰の抜ける驚きである。ササ遠慮なく一緒にならんといえどもいえいえ僧の身なれば固く固く断るのに懸命であった。それにしても提灯鮟鱇くん、とんでもない姫さまを紹介してくれたものである。溜息に咽んだ拍子に夢から覚めたのである。傍には可愛いブッコちゃんの妻が鼻を鳴らしてやすらに寝ていた。



[756] ネット句会

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 9月 2日(土)07時45分4秒   通報   返信・引用

    ネット句会 (2017,8)


         五句自選


               序破急を十重に二十重に法師蝉

               夏痩せの顔てのひらに残りゐる

               高原の水車ごつんと鰯雲

               月山の岩が器やましら酒

               月光の匂ひと思ふ秋の鮎


                   



[755] かんぜおん

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月30日(水)22時22分25秒   通報   返信・引用   編集済

   句会(2)
          即吟

                依    秋嫁してかわゆきものぞ妻依る

                偶    秋の蚊や刺さる雲衲偶感す

                竣    竣工の学舎のかぜ夏来たる

                袖    袖にされ恋文ひとつ秋の光

                閥    学閥や非道の医道大旱



[754] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月30日(水)09時36分33秒   通報   返信・引用   編集済

     ぞろぞろと鳥けだものひきつれて秋晴の街にあそび行きたし   前川佐美雄


わたしもこんな歌をつくったことがある。

        大江の鬼、狐や狸ひきつれて寡婦と讌する怪談なまめく



[753] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月30日(水)09時31分57秒   通報   返信・引用

     花いまだ乏しき梅の木の下にこころひらかぬ子と坐りたり   桑原正紀


こころひらかぬ子、とは悲しい。彼の子として存在するのは何ゆえであろうか。母が重い病になったからか。この梅の花咲くころこころひらいてくれたらうれしいですね、花のように。



[752] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月30日(水)09時23分31秒   通報   返信・引用

     マンシヨンに来てしまひたる鍋釜を網タワシにてみぢやみぢや磨く   永井陽子


彼女にもこんな歌があったんですね。なんといっても、みぢやみぢやがいい。新鮮感覚おぼゆる。



[751] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月30日(水)09時15分27秒   通報   返信・引用

     近づいてまた遠ざかるヘツドライトそのたびごとに顔面捨てる   江戸 雪


顔面捨てる、とはライトのときはあってライト去り闇のときは暗く顔がないということである。ささいなことであるがこの視点発見がおもしろい。



[750] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月30日(水)09時08分6秒   通報   返信・引用

     亡きひとはことば持たねど亡きひとを話すあまたのことば聴きをり   春日井 健


亡きひとはことば持たねど、とは自分から言うことば持たない、自分からいうことなかった、であろう。このあまたのことば、は他人の評とか賞賛であろう。



[749] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)10時20分17秒   通報   返信・引用

     年月をゆきつくごとし鉄橋を渡れば枯野 すぐ無人駅  小中英之


鉄橋、枯野、無人駅、と年月を感じさせる。簡明ながら詩の形成はなっている、うまくいっていて歌の巧みなばかりである。



[748] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)10時12分24秒   通報   返信・引用

     極まりてかういふ色になりました赤唐辛子しみじみと言ふ   青木昭子


これも屁理屈歌で唐辛子が言っているのである。納得いかぬが詩として堂々とした歌なのである。なにか、幼稚園児に紙芝居をしているようなのだがわれわれは大人なのである。



[747] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)10時02分41秒   通報   返信・引用

     渾身といふ降り方せぬ雪をあふぎて立ちてゐるばからしさ   青木昭子


雪は渾身でなくふわふわ降るであろう。渾身と見たい作者に問題があるのである。そのように見る馬鹿らしさをわれわれは見るのである。屁理屈歌といえよう。



[746] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)09時55分39秒   通報   返信・引用

     夕ぐれに涙を流してゐるやうにうつむく妻は竹の子を輪切りす   松坂 弘


たしかにうつむいて台所でやっている妻は泣いているようだ。なにか貧しくうつむいているようにみえるのだが
竹の子の輪切りらしい。なんでもないような事なんだが歌にできるということか。



[745] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)09時46分6秒   通報   返信・引用

     豪快に三時間昼寝したるのち潰れ大桃食べて又寝る   石川不二子


作者は農業をされておられる。三時間昼寝するは労働で疲れていたのだろう、普通ならばこの時間まで眠れぬ。潰れるとは身体がなまって動けぬことだ。大桃とは豊かな実った大きな桃だろう。その後、又寝るのである。農民の生活をかいま見るようである。



[744] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)07時21分21秒   通報   返信・引用

     病名は一つにあらずかうなれば恋をして行けるところまで行く   稲葉京子


この病名は恋の病名、恋を成就せんがために病名あるともやらんと息まいておられるのである。その病名とは、気が弱い、引っ込み思案、恥ずかしがり、決断力のなさ、別嬪のうぬ惚れ、など多々あるでしょう。拙僧、幸あらんことを祈る。



[743] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)07時07分32秒   通報   返信・引用

     Tシヤツの胸尖らせてひたひたとをとめ五人が質問に来ぬ   篠 弘


作者は教授、講義の質問に五人の乙女が来る、乙女の胸は豊かに盛り上がり尖るようでひたひたとして迫るのである。簡単に言えば助平な教授のわれが乙女の艶姿にこころ嬉しく喜んでいるのである。前述した佐々木幸綱せんせ、こんな歌をつくったらいいのです、問題ありません。



[742] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)06時45分14秒   通報   返信・引用

     職業の欄に歌人と明記して犬にちんちんさせているなり   石田比呂志


犬にちんちんさせているのは、 わが歌をみてね、評価してね、の意味がある。まさに愛らしく媚びるかのようである。作者はそんなことせずとも良い歌なのでちんちんして読者は見てくれるだろう。



[741] 秀歌逍遥

投稿者: 小川良秀 投稿日:2017年 8月29日(火)06時36分19秒   通報   返信・引用

     二の腕に止まりたる蚊を口窄め神慮の方へ吹きてやりたり   石田比呂志


くちすぼめ、読む。二の腕、とは二つある腕。神慮とは神のおぼしめし方、すなわち、蚊の命があるようにされる方。表現の深さ、詩のとらえかた、内容の在り方を知ることができる。


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