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>筆綾丸さん
>神西清の訳
私も昔、新潮文庫の『桜の園』を買ったのですが、当時は全然面白いとは思えず、途中でやめてしまいました。
それにしても作者本人がわざわざ『桜の園 四幕の喜劇』とタイトルに明記しているのに、スタニスラフスキイによる最初の演出のときから悲劇にされてしまった、というのは、ずいぶん奇妙な話です。
>サクランボ
第2幕のおわりに、「いいですか、アーニャさん、あなたのおじいさん、ひいおじいさん、代々の御先祖は皆、生きた人間を所有してきた農奴主でした。園の桜の実の一つ一つ、葉の一枚一枚、幹の一本一本から、人間の目があなたを見てはいませんか、声が聞こえはしませんか?」というせりふがあります。
小野理子氏の注によると、
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この有名なトロフィーモフの台詞の《・・・(※ロシア語略)・・・》は、私の知る限りすべての既訳が「桜の木一つ一つから、葉の一枚一枚から、幹の一本一本から・・・」の意にとってきたが、この「ヴィシュニャ」は桜の木ではなく実、すなわちサクランボのこと。第二幕の時は七月、サクランボは二つずつ並んで濃い赤色に熟し、樹上から睨む目のイメージにふさわしく、またそれでこそ三つめの「幹」とは重複しない。同じ言葉「ヴィシュニャ」は三一ページのフィールスの台詞でもサクランボを意味して使われている。(p75)
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のだそうで、ま、正しい解釈なのでしょうが、果樹園のサクランボがすべて人間の目玉というのは相当ブキミな光景ですね。
ただ、若干気になるのは、Julius Westという人の1916年時点の英訳を見ると、
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TROFIMOV. All Russia is our orchard. The land is great and beautiful, there are many marvellous places in it. [Pause] Think, Anya, your grandfather, your great-grandfather, and all your ancestors were serf-owners, they owned living souls; and now, doesn't something human look at you from every cherry in the orchard, every leaf and every stalk? Don't you hear voices . . . ? Oh, it's awful, your orchard is terrible; and when in the evening or at night you walk through the orchard, then the old bark on the trees sheds a dim light and the old cherry-trees seem to be dreaming of all that was a hundred, two hundred years ago, and are oppressed by their heavy visions.
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となっていて、cherry-treeではなく、"every cherry"と訳していますね。
他の英訳はどうなっているのか、また、英訳例は日本語訳に影響を与えなかったのか。
ま、些細なことですが。
http://www.ibiblio.org/eldritch/ac/chorch.htm
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