|
|
>筆綾丸さん
通常の歴史用語としては、幕府は鎌倉・室町・江戸の三つだけで、織田幕府・豊臣幕府などとは言いませんから、要するに幕府とは「征夷大将軍を首長とする武家政権」程度の概念なんでしょうね。
そしてこれが形式的な概念であって、実質的にはそれぞれの幕府ごとにかなり違いがあることは、通常の知性がある人ならば誰でも理解しているはずです。
それを高橋氏のように実質的な概念とすると、六波羅幕府に加えて奥州藤原氏幕府(平泉幕府)も確かにオッケーなのでしょう。
また、先にリンク先としたペンネーム、Wallerstein氏のブログによれば、
-------------
私自身、むかし高麗の武人政権と鎌倉幕府の「差分」について考えたことがあったし、室町幕府のもとでの関東公方権力も一種の「鎌倉幕府」と言い得るだろうと思っているし、さらには懐良親王の「征西将軍府」もいわば「九州幕府」と呼称して差し支えないだろうと考えている。私自身は「六波羅幕府」という提起に魅力を感じている。
http://d.hatena.ne.jp/Wallerstein/20090719/1247998197
とのことなので、関東公方幕府や征西将軍幕府ないし九州幕府の成立可能性も濃厚です。
更に、「江戸幕府を幕府と呼ぶのなら織豊政権を幕府と称してどこがおかしい」という論理も成り立ちそうですから、織田幕府や豊臣幕府もよさそうです。
形式論を徹底して、天皇から認められている軍政機構は幕府なのだ、となると、昭和天皇と並んで写真を撮ったマッカーサー将軍を首長とする連合国軍総司令部も幕府の範疇に入るかもしれません。
しかし、「皇帝や王から軍事の大権を委ねられ、官衙を開き一般行政にも参与、自ら幕僚をリクルートするなどを共通項とする歴史的実体」という具合に幕府概念を実質化すると、逆に江戸幕府は幕府なのか、という疑問も生じるはずです。
即ち、江戸幕府となれば、現実の力関係としては幕府の方が天皇より圧倒的に強く、天皇から「軍事の大権を委ねられ」るといっても本当に形式だけだから、江戸幕府は真の意味での幕府から排除すべきだ、という議論も成り立ち得ると思います。
つまり、概念を実質化することによって、対象の拡大も起こり得るし、縮小も起こり得ますね。
概念の柔軟化というと肯定的な語感がありますが、概念のズルズル・ダラダラ化、ベッタリ・マッタリ化、ヌルヌル・ベチョベチョ化でもある訳で、そんなくだらない概念遊びをやるくらいだったら、めんどくさいから全部「政権」にして、実質的な相違だけを分析する方がよっぽど学問的には実りがありそうです。
|
|